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モラハラが何年たっても終わらない理由|話し合っても元に戻るのはなぜか?

8月27日
読了時間: 6分


相談を受けていると、

「もう何年も続いています」「何度も話し合いました」「一度は改善したように見えました」「でも、しばらくするとまた元に戻るんです」

という話を聞くことがある。


何度も話し合っているし、そのたびに相手も分かったようなことを言う。一時的に態度が変わることもあるのだが、しばらくするとまた元に戻ってしまう。

そうなると「夫はどうして変わらないんでしょうか」という話になる。

もちろん、夫が変わらないから終わらない、と考えることもできる。


でも、それだけなのだろうか。

ここでちょっと逆から考えてみる。



奥さんには失敗でも、夫には成功かもしれない


奥さんは今の状態を「うまくいっていない」と考えている。

当たり前である。

モラハラを受けて困っているのだから、今の夫婦関係は問題のある状態であり、なんとか改善したいと考える。

だから話し合う。

では、相手である夫も同じように「今の状態はうまくいっていない」と考えているのだろうか。

ここが問題なのである。


たとえば、夫が怒れば奥さんが謝る。不機嫌になれば顔色を見る。無視をすれば奥さんの方から話しかけてくる。強く言えば自分を優先し、責任を押しつければそれ以上追及されない。

これ、夫から見たらどうなんだろう。

うまくいっているのである。

奥さんから見れば困った状態なのだが、夫から見れば自分のやり方で相手が動いている。

つまり成功しているわけだ。

ここを抜きにして「どうして夫は変わらないんでしょう」と考えても、なかなか答えは出てこない。



うまくいっている方法を、わざわざやめるだろうか


人は一度うまくいった方法を繰り返す。

これはモラハラに限った話ではない。

怒鳴ったら相手が従った。

無視したら相手から謝ってきた。

不機嫌になったら予定を変更してくれた。

責任転嫁したら、それ以上追及されなかった。

となれば「この方法を使えばいい」となる。


単なる癖や習慣というより、その人にとっては成功体験になっている可能性があるのだ。

そう考えると、話し合った直後は少し変わったのに、しばらくすると元に戻るという話も分かりやすくなる。

話し合ったので一時的には態度を変えた。

でも、以前の方法は使える。

しかも実績がある。

だったら、また使う。

奥さんの方は「何度言っても分かってくれない」と考えるのだが、もしかしたら「分からない」のではなく、今までの方法を変える理由がないのかもしれない。



成功すれば、次はもう少し要求する


さらに面倒なのは、同じ状態が続くと要求が少しずつ大きくなる場合があることだ。

最初は小さなことだったかもしれない。

服装について文句を言うとか、帰宅時間について細かく言うとか、友人との付き合いを嫌がるとか、その程度だったものが、だんだん広がっていく。

「誰と会うのか」「どこへ行くのか」「何に金を使うのか」「何時に帰ってくるのか」

こんなところまで口を出すようになる。


最初の要求が通り、次の要求も通ったのなら、さらにその先へ行くこともあるだろう。

そして気がついたときには、行動範囲を狭められ、人間関係を制限され、お金を管理され、自分で何かを決めることさえ難しくなっている。


最初からそこまでやったら「なんだこれは」と気づくかもしれない。

ところが少しずつ進むから分かりにくいのである。



そのうち二人だけの話ではなくなる


さらに続くと、今度は周囲が巻き込まれることがある。

家族、親族、子ども、職場、共通の知人などに、

「自分はこんなに我慢している」「問題があるのは妻の方だ」「自分は家族のためにやっている」

などと説明する。


当然、相手側の話しか聞いていない人は「そうなのか」と思う。

すると今度は周囲から、

「あなたも少し我慢したら?」「ご主人も大変なんじゃない?」「夫婦なんだからちゃんと話し合ったら?」

なんて言われることになる。

いや、散々話し合ってきたから困っているのだが、周囲にはそこまで分からない。

こうなると、もともとは夫婦二人の間で起きていた問題が、周囲まで含んだ話に変わってくる。

本人だけではなく、知らないうちに周囲まで今の状態を支えることがあるのだ。



奥さんの方も抜けにくくなる


一方、長い間こういう状態が続けば、奥さんの方にも変化が起きる。

「また怒らせると面倒だから黙っていよう」「私が我慢すれば済む」「これくらい普通なのかもしれない」「私にも悪いところがある」

こんなことを考えるようになる。


人間は環境に慣れる。

本来なら「そんなのおかしいだろう」と思うようなことでも、それが毎日のことになれば、だんだん基準が分からなくなってくる。

しかも厄介なのが「今度こそ変わるかもしれない」という期待である。


実際、一時的に優しくなることもある。

反省したように見えることもある。

そうなると「今度は大丈夫かもしれない」と思う。

ところが、また元に戻る。

そしてまた話し合う。

少し改善する。

また元に戻る。

ずっと同じドラマを繰り返しているようなものだ。



役割そのものが固定されているのかもしれない


長期間モラハラが続いているケースを見ると、個々の言動だけではなく、二人の役割そのものが固定されていることがある。

夫が怒る。

奥さんが謝る。

夫が責める。

奥さんが説明する。

夫が要求する。

奥さんが我慢する。

夫が無視する。

奥さんが機嫌を取る。


同じ場面になると同じことをして、そして同じ結末になる。

ここまでくると「夫がモラハラをやめれば全部解決」というほど単純でもなくなってくる。

二人の関係だけでなく、周囲の人間関係まで含めた全体が固定されている可能性があるからだ。



終わらないのではなく、終わる条件がそろっていない


何年も同じことが続けば「これは一生終わらないんじゃないか」と思うのも無理はない。

でも、ここでも少し見方を変えてみる。

終わらないのではない。

終わる条件が、まだそろっていないのである。


夫には今までのやり方を変える理由がない。

奥さんの方も、離れるにしても別の対応をするにしても、その準備ができていない。

さらに周囲まで現在の状態を支えている。

これだけ条件がそろっていれば、むしろ同じ状態が続く方が自然とも言える。

となると「もっと上手に話し合えば分かってくれる」という方向だけで考えるのはどうなのだろう。


何度も話し合って、それでも同じところへ戻っているのなら、次に見るべきなのは別のところかもしれない。

相手は何をすると自分の要求が通るのか。

そのとき自分はどう反応しているのか。

周囲はどのように関わっているのか。

そして、何が今の状態を維持しているのか。


相手の性格だけを見るのではなく、現在の状態を成立させている全体を見るのである。

モラハラは時間がたてば自然に解決する、というものでもない。

続いているのなら、続いている理由がある。

しかし、その理由が見えてくれば「なぜ同じことを繰り返しているんだろう」というところから、もう一段先を考えることができる。


何度話し合っても同じところへ戻ってしまうのであれば、

「どうすれば相手を分からせられるか」

ではなく、

「なぜこの状態がずっと維持されているんだ?」

と考えてみる。

そこから見えてくるものもあるのである。



もし「自分の場合はどうなんだろう」「いろいろありすぎて、自分では整理できない」という方は、個別相談をご利用ください。

何が問題なのか、うまく説明できなくても大丈夫です。

起きていることを一つずつ聞きながら、今どんな状態になっているのか、これから何を考えればいいのかを一緒に整理します。

 
 
 

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