なぜ被害者は、うまく説明できなくなるのか
― 対人関係の支配と混乱で起きていること ―
誰かに説明しようとすると、なぜか言葉が出てこなくなる。
頭の中では「おかしい」と分かっているのに、話そうとすると曖昧になり、要点が崩れてしまう。
これは、能力や理解力の問題ではありません。
**特定の対人関係で起きる、典型的な“状態”**です。
対人関係の支配・混乱とは何か
対人関係の支配・混乱とは、一方が他方の判断・感情・認知を不安定にし、関係の主導権を握り続けようとする状態を指します。
この状態では、暴力や命令のような分かりやすい行為だけでなく、
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否定と肯定を繰り返す
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話題をすり替える
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「あなたのためだ」と正しさを押し付ける
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重要な説明を曖昧にする
といった行為が重なります。
結果として、被害を受けている側は「自分の判断に自信が持てない状態」に置かれていきます。
なぜ「説明できなくなる」のか
説明できなくなる理由は、記憶力や論理力の低下ではありません。
構造的な理由があります。
① 判断の軸が壊される
支配的な関係では、
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何が正しいのか
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何が問題なのか
という判断基準が、相手の反応次第で変えられてしまうことが多くなります。
すると、「これが事実だ」と言い切る感覚そのものが弱まります。
② 言語化する前に否定される経験が積み重なる
何かを説明しようとしたとき、
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「それは考えすぎ」
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「そんな言い方はおかしい」
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「被害者ぶっているだけだ」
と返され続けると、**話す前から“言葉を引っ込める癖”**がつきます。
この状態では、いざ第三者に説明しようとしても、頭の中で言葉が散らばってしまいます。
③ 混乱させられた記憶は、直線で語れない
支配・操作がある関係では、
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事実
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感情
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相手の評価
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が混ざり合い、時系列が歪みやすくなります。
そのため、
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話が前後する
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重要な点を飛ばしてしまう
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「結局、何が言いたいの?」と言われる
ということが起きやすくなります。
説明できない=嘘、ではない
外から見ると、
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話がまとまらない
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一貫性がない
ように見えるため、「本当なの?」と疑われることもあります。
しかし実際には、説明できないのは、何も起きていないからではなく、起きていることが“整理されていない”から
です。
これは、被害を受けた人に非常によく見られる状態です。
この状態が続くとどうなるか
説明できない状態が続くと、
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周囲に信じてもらえない
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孤立する
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「自分が悪いのでは」と考え始める
という二次的な被害が起きます。
その結果、本来の問題(支配や操作)よりも、「自分の在り方」が責められる構造になってしまいます。
抜け出すために必要な視点
この状態から抜け出すために必要なのは、
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相手を説得すること
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うまく話せるようになること
ではありません。
必要なのは、起きている出来事を「構造」として整理することです。
具体的には、
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何が起きたか(事実)
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どの順番で起きたか(時系列)
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その時、何を感じ、何を考えたか
を分けて整理することで、判断の軸を自分の側に取り戻すことができます。
このページについて
本ページは、
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医学的な診断
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性格の断定
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誰かを断罪すること
を目的としたものではありません。
対人関係の中で起きる混乱を整理し、自分の判断を回復するための視点を提供するものです。
対人関係の支配・混乱を整理し、抜け出す支援を行う専門家
オリザ・リサーチサービス
もしこの文章を読んで「自分の状態に近い」と感じたなら、それは弱さではありません。
言語化できなかった状態に、今、言葉が与えられただけです。
