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  • 執筆者の写真oryza63

DVモラハラで離婚する時に「やるべき事」「準備すべきもの」。DV離婚は物凄く労力が必要で大変な作業だ

更新日:2023年6月30日


DVや虐待といった事から起きる離婚では、それを弁護士や調停の場で説明する時にうまくできない人が多いので、何をどのように説明すればいいか紹介します、同時にそれを受任する弁護士についてツラツラ話してみます。

今回はちょっと長い文章です。



離婚が簡単にできると思っている人もいるようですが、「離婚したいんです」といって「ハイ、そうですか、OKです」といったことはあり得ません。


離婚するにも法律で決められた内容、状況といったものを満たしていないと「合法的、正式」な離婚とはなりません。

そもそも片方の意思だけでは離婚できないから、お互いの合意が必要になってきます。

ついでに言えば、結婚したら法的に守らなければならない事、義務というものも民法で決められています。


不貞行為といった浮気による離婚の場合、大抵の人が探偵を使って調べて、証拠書類として探偵の調査報告書を弁護士に渡します。

そこには、時系列で写真や説明が書き込まれています。

調べた探偵の「気持ちや心情」といったものは当然入ることはありません。

実験のレポートのように、写真、状況説明があるだけです。


浮気といったケースではこのように証拠、それも探偵という第三者が記録した写真と説明がありますから、弁護士としてもそれを使って相手を追い込んでいきます。


探偵は証拠撮影にビデオもよく使いますが、報告書にはビデオ映像から切り取った画像を入れます。

何時間も取ったビデオを弁護士に渡しても、見ているヒマは無いし弁護士としても肝心な部分だけが必要なので、要求されたら提出する程度ですが、今まで一度も要求されたことはありません。

裁判になったケースでも使われませんでした。


つまりは、弁護士も調停も裁判も、限られた時間の中で動いていていて、たとえ2~3分だったとしても時間のロスになるので、ビデオ映像よりも一瞬を切り取った写真が好まれる、ということです。




さて、不貞行為は、このように証拠を採ることができますが、DVに関しては難しい面があります。

暴力を振るわれてケガをしたなら、医師の診断書、110番して警察を呼べば警察の記録といったものが残ります。

それでは他のDV、精神的虐待、経済的虐待、社会的隔離、性的虐待といったものの場合は、どうやってそれを証明するのか知っていますか?


それは、時系列の記録を残すことです。

日記のように、毎日でも毎回でも記録をすることです。

何月何日、何を言われた、どうされた、といったことをできるだけ正確に記録していくのです。


この記録が必要な理由は、弁護士に説明する段階で、「離婚理由が弱い」「離婚するに十分な法律的な理由がない」と言われないようにするためです。そしてその事実を弁護士が必要とするからです。


法律で認められた離婚理由は


①配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

④配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき


この5つがあります。


調停や離婚裁判で裁判官に離婚を認めてもらうには、法律的に十分な「離婚原因がある」ことの説明が必要です。


①から④であれば、説明は簡単だし、はっきりと分かる証拠、証明するものがあります。

難しいのは、⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を理由とする場合で、その事実を説明するしかないケースです。


特に、DVや虐待などが原因で離婚する場合は、この「その他の事由」という項目を使います。


この⑤「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」ことを説明する場合には、事実を積み上げて説明することになります。


それを説明して、弁護士、調停委員、裁判官も判るような流れを作るには、次のような事実の積み重ねが必要です。


Aという事実

Bという事実

Cという事実


これらの事実を総合すると、

民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在するといえる。

だから、この夫婦の離婚が認められることが正当である。

こういった資料、材料が重要になります。

まさに数学の証明問題のようですが、それだけでは足りません。



弁護士が言ってくる「離婚理由が弱い」というのは、証拠が足りない、という意味ではありません。

あなたが話した原因や理由が、法的な離婚理由を満足させてはいない、ということです。


事実を拾い上げて、それを時系列で記録するのは最初の一歩です。

次に、その中から「婚姻を継続し難い事由」に繋がる事実を抜き出して行って、離婚原因として言葉や文字に換えていく作業があります。


事実をいくら並べても、離婚の根本的原因にはなりません。

殴られた、生活費を入れない、口うるさい、といったことは実際に起きた事、事実を並べただけです。

自分は、それをされて、イヤだった、希望が無くなった、恐かった、といったことではなく、どの事実が「法律を満たす」理由なのかを説明しないといけません。


「婚姻関係を継続し難い」ということを「性格が全然合わないこと」、「夫婦仲がとても悪いこと」といったイメージで考えていると、法律が言っている「婚姻関係を継続し難い重大な事由」は思いつきません。


法律では最初に少し話したように、結婚したらお互いが守らないといけない義務があります。

民法752条には

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

とあります。


これはたとえ当事者同士、つまり夫婦となったカップルがどう考えていようが、強制適用される規定です。


この関係が壊れてしまうと夫婦という単位が維持できない、夫婦関係維持の重要な要素、と考えると、

これが壊れた時が「婚姻を継続し難い」状態といえます。


さらに民法760条では、婚姻費用分担義務、つまり生活費の支払い義務もあります。

また、ここでは規定されていませんが、夫婦の貞操義務も含まれていると解釈されています。

つまり、拾い出した事実が、こういった規定に当てはまるように組み立てる必要があります。



離婚理由が弱いと言われた場合


時系列で事実を記録し、その中から夫婦関係が破綻するモノを拾い出し、それを自分の気持ちと併せて表現できていない、と思った方がいいでしょう。


ただし、本来これは、弁護士があなたと面談していろいろ聞いていく中で、拾い出して考えていくものです。

つまり弁護士の仕事なのですが、これができない弁護士、やりたがらない弁護士がどうやらいるようです。

何度説明しても判ってくれない、意味を違えて理解している、といった話しも聞きます。


他の案件も抱えて忙しく、面談時間が1~2時間程度ではなかなか依頼人の心を覗くこともできません。

まして頭が混乱している依頼人に「整理して話せ」というのも酷な話しです。

さらに言えば、証拠の記録を時系列で作れ、というのも時間がかかります。


これでは弁護士も、理解するのに時間がかかり、証拠を出してもらうまでも時間がかかり、あっという間に半年位は簡単に過ぎてしまい、忙しさの中で、そのうち、あなたのことを忘れてしまいます。


そうならないためにも、あなた自身が証拠を記録しておく、離婚理由とその原因を明確にしておく、という作業が必要です。


ましてや、DVが原因でうつ病になっていたり、解離症状が出ていたりすれば立派なPTSD、それも複雑性PTSDになっているのでフラッシュバックも起きて、思い出す作業自体が困難なものになります。

こういった難しい状況にあることを分かってくれる弁護士でないと、イライラしたり時間ばかりかかるメンドクサイ依頼人ということで扱いがぞんざいになってきたりします。



法律では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定していると話しました。

単身赴任は例外として同居の義務から外されています。

互いに協力し扶助しなければならない、という部分をよく理解してください。


家庭運営をあなただけに任せている、負わせている、ということはありませんか?

あなたが病気になっても、看病してくれない、心配してくれない。それどころか、「オレのメシはどうした」等と騒いでいませんか?

こういいうことが頻繁にあれば、相互扶助の義務を放棄している、とも言えます。



夫のDVやモラハラが激しくて逃げ出す奥さんもいますが、そんな時モラハラ夫は

「夫婦には民法上の同居義務があるのを知ってるか、別居なんかしたら法律違反だぞ」

「オレが承諾しないのに別居したりしたら、『悪意の遺棄』で、慰謝料を請求してやるからな」

などと脅してくるケースがあります。


同居義務というのは、正当な理由がない別居を禁じる、というものです。

モラハラ夫から逃げる行為は、正当な理由になるので、検討違いです。


また、悪意の遺棄、というのも同様で、モラハラ夫から逃げる行為は「身の安全を確保する」正当な行為ですからこれも見当違いです。


DVやモラハラする人の多くは、自己愛が強い人、自己愛性パーソナリティー障害の傾向が出ている人ですから、自分を正当化するためには法律を悪用したり、拡大解釈をして脅しをかけることがよくあります。


法律を良く知らない人が相手なら、そういった脅しや騙しも有効ですが、弁護士には言ってきません。

専門家が相手だと自分が不利になることがよく判っているからです。


さらに、自分より上のランクにいる人間と見ていて、マウントを取ることができない、ということを判っているのかもしれません。



DVやモラハラ、虐待といった証拠を見せることができないケースでの離婚は苦労することが多いモノです。


記録なんかないし、何十年も前からされているので思い出せない、

そんなものとっていない、という人もたくさんいるでしょう。

過去を思い出してください。最近のものでもいいです。

今日から、今からでもいいから記録を残すことです。

諦めてはイケマセン。



また、DVで騒いで警察を呼んだとしても、単なる夫婦喧嘩としか見てくれないケースもあります。

警察署レベルの問題なのか、個々の警官レベルなのかは分かりませんが、そういった地域も実際にあって、対応の仕方には大きな差があります。


そして、前回も話しましたが、被害者が男性、つまり夫であれば「男のクセに」といった態度で応対される人もいてDVへの理解度が不足しています。

これは周囲の人も同じで皆勝手なことをいってお茶を濁すだけです。

聞かされる方としては怒り爆発ですが、タダでさえDV被害に遭ってストレスが溜まっているところにそんなことを言われると、女性でも男性でも人間不信になってしまいます。



さてさて、こんな面倒なDV離婚ですが、依頼を受けてくれる弁護士によってはさらに面倒なことが付いてきます。


離婚する時、お互いの協議がうまく進まないと弁護士を間に入れて話し合ったり、調停したり裁判となったりします。

調停で弁護士を使う人も当然います。


今までの調査の依頼人たちは、協議や調停でもスムーズに物事が運び、満足に離婚できた人、慰謝料に不満はあるものの離婚して新しい生活を始めた人がたくさんいます。


しかし中には、弁護士がこちらを不安にさせるケースもあります。

それは、

担当している弁護士がこちらの話しをちゃんと聞いていない、記憶していない、前回の相談の時に話してくれたことと反対の事を言い出す、しかもその理由を聞いても明確な答えが返ってこない、といったけっこう致命的なミス、というか、信頼関係が崩れるような問題です。

いくつか紹介すると、


1.前回の話しでは「これでいきましょう」だったのが、次に会ったら「こっちでいきます」と言い出す。しかし、変更した理由の説明はなく、聞いてもこちらが納得できる内容ではない。


2.いろいろ資料を渡しておいたけど、面談をすると、その内容をほとんど覚えていないか、知らない。そのため、毎回のように最初から流れを説明しなければならないので時間のムダが多い。


3.「これを出すと相手に有利になるので、先方が言ってきたら出します」だったのが、こちらから最初に提出する、という方針変更。前回の話しから考えると、こっちが不利になるんじゃないか、と心配になるようなことを言い出す。


3.こちらから「あとどんな資料が必要ですか」と聞かないといけない人、つまりは、こちらがマネージャーのような事をして、資料作成やら資料探しをしないと動かない人。さらには、こちらから聞かないと、まったく動かない人。


4.調停や裁判などについて、どんな方針で攻めるのか、まったく知らせない、教えない人。


5.調停などで結果が思い通りにならないと、キレて依頼人に当たって来る人。


素人なら分かりますが、これはDV案件を受けた弁護士たちの話しです。

オマケですが、調停の日に二日酔いで酒臭い息をしながらやってきた弁護士もいました。



私には、弁護士の知り合いやら友達はいないので判りませんけど、こういったことはオカシクないでしょうかね?

それともこれが標準的なスタイル、やり方なのでしょうか?

また、どの弁護士も

「大丈夫です、任してください」と言っていましたが、どうもアブナさそうです。


途中で解任して新たな弁護士を頼んだ人では、前回の書類を見せた時に、「前の弁護士は何やってんだ」と怒って息巻いていたのに、だんだんやる気を失ってきて、パソコンでいえば処理速度低下、記憶容量低下、となってやがてエラー続出という人もいたようです。


弁護士を選ぶために相談に行ったら、「やったことはないけど、今後の勉強のためには面白そうですね」と言われ、うちは実験台かい? と怒った人もいました。


いい加減な私が言うのもオカシナものですが、弁護士ももっと言葉を選ぶ必要があるだろうにサービス業なんだから、と思ってしまいました。



弁護士は法律の専門家と言われています。

あくまで法律を使って、この場合であれば離婚を有利に進めることができる人といえるでしょう。

しかし、材料がすべて揃っていないとできない人でもあります。


浮気調査でいえばたまに、相手の住所氏名が欲しいとかもっと写真が欲しい、と追加してくる弁護士もいることはいますが、それではすべてのお膳立てができていないと勝てない、ということになってしまうと思います。


法律の専門家なら、その法律を使いこなして、「婚姻を継続し難い重大な事由」に結び付けていく、屁理屈でも強引でもいいから相手を納得させてしまう弁護士がいてもいいだろうに、と思ってしまいます。


また、離婚問題が得意、といっている弁護士でも依頼人の経済状況から推察して、いろいろな制度の申請や、行った方が良い行政の窓口を教えてくれる人は余りいません。

離婚問題と言ったら、法律的に離婚を進める、法律的に解決することだけに絞っているようなので、それ以外のことを相談したり期待することは無理のようです。

離婚問題とはいっても、証拠がバッチリある浮気問題での離婚が得意なのかもしれません。


ホントに弁護士選びは苦労するものだし、相談者や調査の依頼人の中にもフラストレーションがたまる人がたくさんいます。










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