セーフティーネットとして生活保護があるから安心だ、とネット上では言われる。
また、仕事をしようとせず酒飲んでいて生活保護は無意味だ、という声もある。
まぁ、どちらも正解と言えるかもしれない。
ここで話すのは「独り者」という条件での話しである。
東京を例にすると、保護では一か月当たり「13万円ほど」が支給され、そのうち「56000円」程が家賃補助となり、直接大家に支払われている。
これはあくまで最大金額であるから、住んでいる家によって支給額は若干上下する。
13万円から5万6千円を引くと残りは「7万4千円」である。
ここから光熱費や携帯代などのインフラ料金を払うと、5万円くらいが残り、これが生活費となる。
1か月5万円だとまぁまぁと言えるかもしれない。
この制度を受けるとハローワークに登録して就労支援を受けて、収入を得るように努力する必要が出て来る。
さてここで、どこかに勤めて「月の収入」が5万円できたとすると、翌月の保護費は「7万4千円ー5万円」となって、「2万4千円」に下がる。
つまり、収入があればその分を翌月の保護費から引いて支給となる。
理屈としてはごもっともである。
役所側としては早く保護から脱して、独立してもらいたいのは当然だが、ここで問題が出て来る。
上記の計算でも分かるように、収入が増えると保護費が削られ生活費は常に一定額になる。
貯金が難しいのである。
口座についても残高が定期的にチェックされる。
独立して保護から脱すると、家賃や生活費の補助が終わりすべて自前になる。
ということは、それを越えるような収入を確保できればいいのである。
しかし、単純にそう思っていると失敗する。
保護期間中は税金や水道代など公共のものについては減免措置があるし、国民健康保険も無料となっているので、国保の支払いも始まる。
NHKの料金の支払いも停止されていたのが、請求が始まる。
年金も停止措置が解除されるが、申請すれば停止のままでいけるから、まぁいいだろう。
いろいろ通常運転に変わるので、思っている以上に支出が増えて来る。
だから、保護支給額とイコールの収入を前提にしていると失敗こくのである。
「今時、十数万円程度の給料なんかないだろ、もっと多いだろう」と思うだろうが、手取り額で考えるとこういった所の募集は多い。
就労支援はハローワークの仕事だが、ブラック企業もここに出して来るので、どこまで本当のことか分からない。
しかも貯金もなかなかできない状況では、最出発するにしても「文無し」でスタートとなる。
イチかバチかの大勝負のようなものである。
また、国の施策で65歳以上の高齢者を雇うと3か月分の給料分が後から補助されるので、3か月だけ雇って(タダで)期間満了でオシマイ、を繰り返す会社もあるだに聞く。
まるっきり弱者ビジネス、高齢者ビジネスである。
これが家族がいたりすると様相は独り者とはだいぶ違っていてゆとりが出て来る。
独り者が保護になると、抜け出すのが非常にタイヘンなのだ。
ある意味、蟻地獄に落ちるようなもので、再起を掛けて何とかできるか、というと疑問もある。
DVから逃げる女性の中には保護を利用している人もいる。
子供がいれば、保護を使い、他の支援を使うのも手である。
ただ独り者であるなら、別の手を考えた方がいいかもしれない。
再起を掛けるにしても、なかなか脱出できず、ついには諦めてしまう人の方が多いからだ。
大変な制度でもある。
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