先日、特殊な事情があって逃げるために助けて欲しい、という依頼というか相談があった。
これは何も借金から逃げるとか家出するとかではなく、世の中にはいろいろな事情から逃げる、それも人の助けを借りて遠くへ逃げる人がいるのである。
夜逃げとかだと、夜中に引っ越し業者を使ってというのが標準だが、そんな荷物はすべて置いて逃げる人もいれば、キャリーケースいくつかに荷物を詰めていく人もいる。
不肖の探偵が扱ったものでは、激しいDVで怪我をしてそこから逃げる女性や、やはり激しいモラハラが続いて精神的に参ってしまった女性を過去に何人か運んだことがある。
タクシーを使えばいいのだが、それも事情があってできない、別に金が無いという訳でもなく、タクシーの場合は足が付くということで避ける人が殆どである。
中には監視されていて、後を尾行される恐れがある、ということで複雑な経路を使って移動することもある。
関東から関西方面、東北方面というものもあって、けっこう移動距離がある。
ダンナが留守中に飛び出るのだが、これも合流場所を決めておいて、そこで急いでピックアップして走り去る。
家の近くまで行ったりしたら、知り合いに見られる可能性もあるので、そうはならないようにプランを作る。
うちの会員の中では、ダンナが仕事で留守の間に引っ越し業者を使って一気に逃げた人もいる。
この時は、業者が途中の中継センターで荷物を積みかえ、翌日別のトラックで移動していた。
手慣れた業者だとこういった積み替えで、どのトラックか分からないようにしてくれるし、中継センターの外から見えないように積み替えてくれるのである。
うちの場合は、大荷物ではなくせいぜいキャリーケースが3つほど。
それを積んで、本人も乗り込んで出発である。
高速を途中で降りたり乗ったり、さらに一般道をズンズン進んでまた高速。
ICで降りて反対方向に戻ったりもする。
こうやって尾行のクリーニングを繰り返したり、大きなスーパーの駐車場に入ってグルグル回って出てきたりとなかなか忙しい。
逃げる先も両親や親族の家ではバレてしまうので、親族が準備してくれた避難先へ向かうのである。
そして、降ろしたら今度は真っ直ぐ帰るではなく、そのまま先へ100キロくらい進んで目くらましをしたり、戻るルートを大回りにして半日の誤差を作ったりもする。
昼間に逃げ出し、途中で夜になるのを待つこともある。
こうすると尾行車両を発見しやすいからで、映画みたいなものである。
こうなってくると、やっぱりタクシーは柔軟な対応ができないから除外される。
バスや電車は無理だし飛行機も足が付くのは目に見えている。
という訳で車での大移動になる。
西日本に住んでいたある会員は、キレると危険なダンナから逃げるに当たって弁護士から、「できれば北海道に行ってくれ」と言われたし、陸続きでない地域に引っ越すように弁護士からアドバイスされた人もいる。
ホント、危ないダンナだと「何をするか分らない」のでここまで言われる。
こうやって遠くへ逃げる女性もいるし、それが子連れである場合もあるのである。
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