探偵の仕事は大雑把に法律でいうと「第三者の行動を尾行張込み、聞き込みなどで監視し、その結果を依頼者に報告することで代金を得る」となっている。
特定の人の行動を監視するのだが「誰でもOK」という訳でもなく、業界としては各社で規定を設けて「暴走」しないようにしている。
例えば、配偶者や親族はいいとしても、「結婚相手」となると受け付けない事務所もある。
不倫相手となるとさらに厳しくなる。
業界としての「統一規則」ではないのでうちはやっているが・・・。
いろんな人からの依頼が来るということは、いろんな業種の人から来るということになる。
これがまた「変わった人」から依頼が来る原因でもある。
職種もいろいろである。
会社員もいれば主婦もいた。
会社経営者もいたし福祉団体の理事長というのもいた。
公務員もいれば風俗嬢もいた、風俗の経営者もいたし、ヤクザもいた。
地方議員もいれば医者もいたし、福祉団体職員もいた。
公務員となると国・地方・公共団体などがいた。
おまけにホモとかゲイの依頼人もいた。
普通とは違う人と仕事で会っていると、そういった人との「繋がり」ができて、そこからまたまた普通とは「一味違う」人との繋がりができていく。
意外と普通の人は繋がりが広がらないが、普通じゃない人とは繋がって広がるものである。
どの人も「浮気や不倫問題」かというとそうでもない。
金や物を盗んだ相手を探す、昔の知人を探す、昔の恋人を探すといったものもあれば、
相手の親を探す、親族を探す、行方不明になった家族を探すというのもあった。
家族の行動調査もあったし、職員の勤怠状況や行先を調べるもあった。
競合する店の様子を調べたり、客数を調べるというのもあった。
風俗に消えた娘探しもあった。
こうやっていろんな人と会っていると、どの人もそれなりに問題を抱えていて、困っていて、悩んでいるのが分かる。
電話相談とはまた違った世界が広がっている。
こういう変わった人達と関わる、絡んでいると「変わったお願い」もやってくる。
福祉団体の理事長から「愛人」探しを頼まれた事もある。
キャバ嬢から「店でトップ」になるために金を渡され入店したこともある。
DV夫から逃げるるための「夜逃げ昼逃げ」の手伝いもあった。
オレの車に乗って「遠くへ」逃げる人もいた。
不倫相手にワナを仕掛ける事もしたな。
他にもいろいろあったが公開できないものばかりである。
依頼を受けて調査していたら「ある日」警察がうちにきて事情を聴かれた事もある。
追っていた相手が犯罪関係者で、その周辺をウロついているオレも関係人と思われ、警察の調査対象になってしまったのである。
張込みしていて職質された事も何度かある。
近隣住民からの通報や巡回中の刑事に怪しまれたのである。
依頼人と会う事になっている喫茶店に行ったら、警察官がたくさん来ていた事もある。
何事かと聞けば「薬物の手配犯がいた」と言われ、それが依頼人でビックリ、ということもあった。
こんな風にいろんな人やいろんな事案に関係していると、何が普通なのか分からなくなる。
がしかし、スリル満点で楽しい、知らない世界を知れて楽しい、あり得ない事を見る事ができて楽しい、のである。
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