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探偵をしていると、目が覚めた時に「自分がどこにいるか分からない」事がある

「なんでそうなるか」と言えば、ホテル泊があったり車中泊があったり、帰り道でエネルギー切れになって寝てしまったりするからかもしれない。


ホテルでも車でもそして家でも、目が覚めた時に

「ここはどこだ?」

と思って周りを見回す事もある。

最近では減ってきたが、探偵の仕事が忙しかった頃はよくあった。

「ここはどこだ?」

「なんでここで寝てるんだ?」

「オレは何をしていたんだ?」

と、目が覚めて暫くのあいだ考える事もある。


家で目が覚めた時にも「ここはどこだ?」と思う事が今でも時々あって、なんだかボケ老人になってしまったかのようでもある。

今まで見てきたことは全部「夢」であって、本当はボケ老人だった、何てことになったらイヤだし恐い。

「一炊の夢(いっすいのゆめ)」「邯鄲の枕(かんたんのまくら)」の話しみたいだったらイヤである。


こんな事を思っているとそれこそ「精神疾患」を患う事になってしまう。

現実と妄想が入り混じっているのか、それとも妄想の中で生きているのか。

恐いこわい。


なので、どこで目を覚ましても取りあえずスマホや時計で時間を確認し、さらにニュースを見て現実を実感し安心する。



昔サラリーマンだった時、夜中の2時頃に仕事で疲れ果てて帰って来て寝たら、目が覚めたのが4時だったことがある。

「朝の4時か、なんだたった2時間くらいしか寝ていないのか」

と思ったが、やけにスッキリしている。

夕方まで寝ていたのか、と思ったがどうも違う。

オカシイと思い、テレビを見れば朝の番組で、日付は翌々日であった。


窓から顔を出せば、早朝のヒンヤリとした空気、誰もいない町が見えた。

2時間ではなく、26時間寝ていたのであった。

一日吹っ飛ばしていた。

その日は休みだったから良かったが、トンデモナイことであった。


トイレにも行かず、水も飲まず、ひたすら眠っていたのである。

何があったのか分からないが、人生たまにはそんな事もあるのだろう。

しかし、あの「空白の一日」は何だったのか、どこに行ってしまったのか、できれば返してもらいたい、と思う事が今でもある。



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