依頼を受けて調査をしている時、依頼人から「前進せよ」という非情ともいえる指示が出る時がある。
多くの場合、ターゲットがラブホに入った時に「入った」と連絡した時に「後を追って一緒に入れ」「部屋を選んでいる光景を録画せよ」といったものである。
まぁ当然の指示というか要望でもある。
通常であれば、ホテルのロビーに入ったところで「終了」ともいえる撃沈であるが、楽しそうに部屋選びしているダンナの様子を見たいと「熱望」する依頼人もいる。
時には「似たような部屋を選んで入り、中のビデオを撮る」というリクエストもある。
そして戦利品として店の名入りライターを持ち帰るという事も要請される。
「そこまでやるのか」と思うくらい要求する人もいる。
過去にあったものでは、依頼人も変装して一緒に尾行についてきて、ダンナがラブホに入るのを確認し、さらにロビーで部屋選びをする光景を直接確認する、という恐ろしく度胸の据わった人が3人もいた。
隠密にもなったつもりかと思うくらい真剣についてきたのである。
別の人は、一緒に相手女性を尾行し、その自宅を突き止める作業もこなしていた。
家族で住んでいて、オレが単独で偵察に表札を確認し伝えたら
「あー!あの女だったのか」と声に出して感動していた。
ラブホの張込み、ビジホへの尾行張込み、相手の尾行、自宅への張込みなど、いろいろな場面で同行を希望、というか熱望する妻たちがいるのである。
こちらとしては「どこかでドジ踏むなよ」という思いがあるが、誰も失敗はしなかった。
「探偵はちゃんと仕事をしているか」という意味でのお目付け役だったのか、それとも「自分の手で血祭に上げたかった」のかは分からないが、皆真剣である。
ほんの数年前までのことだが、のどかな現場であった。
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