夫の浮気を確信している奥さんは、その情報の確度を高めるためにいろいろ調べている。
夫の方も、情報漏れがないように鉄壁の防御をしているはずだが、ダダ洩れという人もいれば、チョロっと漏れてしまう人もいる。
まるで高齢者の尿失禁のようであるが、完璧を追求するあまりに起きる事がある。
浮気相手と旅行に行く予定が分かった奥さんから調査依頼を受ける事も多い。
ボーダー傾向の夫の場合、ご丁寧に予定表を作っている事があって、それが漏れてしまう事もある。
そうでない夫でも、ホテルや交通機関の予約といったものがバレている事もある。
交通機関が分かっている場合では、探偵にも「同じ列車や飛行機」利用が下命される。
大急ぎで予約し近くの席を確保して中での様子を画像に残す。
数日前までなら予約もできるが、無理なら「乗れる」だけでもいいだろう。
しかし、飛行機はこの手が使えない事がほとんどなので、別の手を考えるしかない。
依頼人の予算もふんだんにある訳ないので、ベストな方法を話し合って決めることになる。
そこで出て来るのが「現地で待つ」という策である。
到着ロビーや駅の改札で待つのである。
駅によっては出口がたくさんあるので、「その列車」のホームで号車番号付近に網を張る事もある。
それをするには当然ながら顔だけでなく全体情報がいる。
身長や服装、持ち物など細かい情報が必要になるが、それまでの間で何度も尾行をしていると覚えてしまう。
しかし当日の服装ついては奥さんからの情報頼みである。
今のところ「急遽予定変更」というケース以外は全勝している、「今のところ」ではあるが。
しかし、これが夫からの要請となると話は大きく変わる。
なにせ、奥さんの服装や持ち物についてちゃんと説明できないのである。
服の色さえ覚えていなかった夫もいる。
関心がないのだろうが、これでは愛想つかされても当然である。
その点、奥さんからの情報は確度も高いので「十分信用にあたる」のである。
現地待ち伏せという手は何度も使った。
空港だと到着ロビーはほぼ一か所なので比較的楽である。
駅改札も「可」であるが、出口がたくさんあると大変である。
そういう時はこちらも「勘」を働かせて絞るしかない。
そうやって待っていると「ニコニコ顔」のオッサンとどこぞの女がやって来る、という寸法である。
まさかこんな所に探偵が待ち伏せているとは思わないだろうし、二人になったら周囲のことなんか全く気にしないので楽である。
網を張る場合、探偵が「当日出発」というのは難しい。
前日に現地入りして朝から待つことになる。
千歳、羽田、福岡の空港。
東北、上越、北陸、東海道の新幹線駅。
その他、いろんな所で待ち伏せしてきた。

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