探偵の依頼を受けて面談をしていると泣き出す人が随分といた。
電話相談で話していてもやはり泣き出す、泣きながら自分の気持ちを吐き出す人がいた。
ところが最近は、そうやって感情が爆発するような人が少なくなってきた。
冷静に話す人が増えたのか?と思ったがそうじゃないかもしれない。
そりゃ話している最中に泣かれると対応が大変だが、そういう人はけっこう「自分の思い」、それも心の奥底にある気持ちを吐き出して来るので、こちらとしても「あー、それか」と問題点が分かって来るような気分になる。
しかし、淡々と話されていると「問題は何か」というのが掴みにくいのである。
泣かないまでも、感情が爆発するような人は分り易い。
淡々と話す人を相手にしていると、「何か隠している」と感じるし、「本当は別の問題だろ」と薄っすら見えてくる。
泣く人は去年の夏ぐらいから急激に減っている。
冷静に話しているのだが、本当の問題を隠しているか自分でも分かっていないようだ。
どの人も大人ぶって(と言うのもおかしいが)いて、冷静を装っている。
もっと感情を出してもいいのに出さないのは、「大人が感情を出すのはみっともない」とか「私は冷静なんです」とか「そういうのは気が引ける」という思いが先立つから、というのが心理学の本にあった。
そういう人に限って「甘えたい」という感情があるようで、この甘えたいというのは「自分を分かって欲しい」「何かに縋りたい(すがりたい)」という感情から来るそうだ。
本当なら、その気持ちをストレートに出す事で気が楽になるのにそれができない、だから悶々として右往左往するだけなのだ。
以前は相談でストレートの剛速球のような事を言ってくる人はかなりいた。
アスペの夫と暮らしている人や、その結果セックスレスになった人、他にスキンシップや会話が無くなった人など、夫婦問題での相談は、
「私だってしたいんだよ」
「女として見られないのが苦しいんだよ」
「肌の触れ合いが欲しいんだよ」
などとハッキリと言う人が多かった。
そんなことを泣きながら訴える人が多かったのである。
そういった人たちと比べると、どの人もおしなべて冷静である。
オレとしては、この冷静というのが「大ウソ」で擬態であるように思えてならない。
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