電話相談をしているとこちらが探偵ということで「怖い経験をしたことはないか?」とよく聞かれる。つい最近も聞かれた。
怖いというのはどういった事を指すのか分からないが、冷や汗をかくような経験は無かった。
ヤクザ絡みの案件でドラマのような場面も見てきたが、不思議と冷静であった。
浮気調査で夫婦の修羅場も見たが、それも冷静であった。
依頼人に会って状況報告をしたら、その有様に怒り出した時は焦ったがオレに対してではなく、ダンナへの怒りであったのでこれも冷静にやり過ごした。
相手を車で追いかけ、高速道路で150キロ以上出したのを追い掛けた時は「ヤバイ」と感じ離脱したが、その時は少し「怖かった」。
こんな感じでそれほど「怖い」体験、「命からがら」の体験は殆どないのである。
それに対して「不思議」な体験はそこそこあるかもしれない。
詳細は省くが、付き合っている女と家でした息子を見つけ出し、依頼人である母親と一緒に彼等が留守の間に家に入り込んだ時は驚いた。
一面ゴミだらけ、弁当のパックや食べ残しが散乱し、衣服も床に散乱、洗濯前の下着類も床に散乱、という惨状であった。
ベッドの上もゴミが散乱して、いったいどこで寝ているのか、と思うような酷い状態であった。
二人してこんな家で生活しているとは想像できん。
さらに不思議なのが、12月で寒い夜だったのだが、家の中が外よりも冷え冷えだった。
冬場に何日を家を空ければ冷えるのは分るが、前日まではここに二人がいたのに凄く冷え込んでいた。
クラーを付けているのか、窓が開いているのかと思うくらい寒い、というより冷えていた。
経験上、あれは普通の状態ではないな。
こういったオカルトっぽい経験は時々ある。
別にオカルト探偵ではないが「女と逃げた」という状況では、その女が異常と思える事がよくある。
「普通はこうは考えないよな」とか「普通とは違う」と感じる事が多い。
その他にも、
浮気相手と家出した夫。
家出というより二人で失踪した夫。
夫の不倫相手を自分達が住む家に住まわせている夫婦。
不倫相手の家に住み込んで、その子供達と仲良く暮らす夫。
多様性がよく言われるが、こういった多様性を求めている男や女もいるようだ。
こういった不思議な連中以外には、相談電話を切ると異常な眠気に襲われた、という経験がある。
そうそういるものではないが、極稀にそんな相談者が現れる。
午後で眠くなるとか、寝不足で眠くなるといったものではなく、電話を切ったら身体が重くなって身動きが取れないような感じ。
とにかく体が重くなって、動かすのがシンドクなる、そして恐ろしい程眠い。
ベッドで横になろうと思っていても、そこまで辿り着けず床に転がって寝入ってしまうこともある。
だいたい30分ほどで回復するのだが、入眠の感覚としては手術の麻酔のような感じか。
あれも「1,2,3」と数えて「5か6」くらいで眠ってしまうが、そのくらい強力な眠気に襲われるのである。
自分の普段の生活からしても、こんな素晴らしい「入眠」というのは無い。
眠くても「歯を磨く」「着替える」「ベッドで寝る」くらいはちゃんとしている。
風呂に入らずシャワーも浴びずはあるだろうが、ちゃんとしている。
しかし一部の相談者の場合、こんな気力も無くなり「エネルギーゼロ」になってしまう。
これも普通の人間ではなかろう。何かある。
怖い経験よりも、こういった不思議な経験の方が体へのダメージが多いのではないだろうか。
自分の外見以上に何かダメージを受けているように思えてならない。
まぁどちらにせよ、探偵というのは身体や「頭」にダメージを食らうような商売だろうから、仕方ない事なのかもしれない。
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