DVやモラハラで離婚しようとしている奥さんがぶち当たる問題として、弁護士との意思疎通がうまくいかない、弁護士がこちらの状況を分かってくれない、というものがあります。
意思疎通というと、オカシナ夫と暮らしていたために、奥さんの考え方がズレてしまった、と思うかもしれませんが、違います。
弁護士がこちらの説明を分かってくれない、こちらの意図していることを汲み取ってくれない、といったことです。
弁護士選びでこれが起きると、あちこちで断られて、なかなか弁護士が決まらない。
選んだ後でこれが起きると、話しが噛み合わず、調停や裁判で申し立てる事柄に食い違いが起きてしまう。
依頼人と弁護人の間での食い違いもあれば、相手側との食い違いも起きてややこしくなってきます。
こうなってくると、弁護士も依頼人も相互不信になったり、依頼人が弁護士を信じられなくなり半ばあきらめ気味になります。
なぜ、こんなことが起きるのか、みんなに起きる問題なのか、というとそうでもありません。
私が見てきた中で思うのは、依頼人が鬱傾向に入っているとこんなことが起きるように感じます。
また、弁護士は依頼を受けて行動する、依頼があるからその仕事をする訳で、依頼するからには正常な状態であると思って受けている、それならいつも通りの仕事の進め方でいけるだろうと思っているのかもしれません。
依頼人が鬱傾向にあるという前提で解説します。
DVやモラハラ、浮気といった問題でも出てきますが、依頼人である奥さんが降りかかってきた問題、置かれていた環境によって、心身共に打ちのめされた状況では、心にダメージを負っています。
この時に出ている症状としては、うつ病、双極性障害、不安症、強迫症、解離症状といったものが代表的です。
それぞれで、意欲の低下、自己評価の低下、ちょっとしたことで不安になったり自己嫌悪になったり、頭が真っ白になって記憶が飛んでしまったり、と普通の生活をするだけでも苦労する状態になります。
こんな状況で離婚についての協議、調停、裁判などをこなすのはかなり無理があります。
記憶をまとめて書類にする、過去からの経過を書類にする、必要な公的書類を集めて来る、日々の記録を作ってまとめる、等々、弁護士に依頼するとあれこれ注文が出されます。
普段の精神状態であっても、こういったモノを作ったり集めたりするだけでイヤになってきます。
それを精神的にフラフラに近い状態でしなければならない、となるとパンクするのは目に見えてます。
じゃ~、なんでそんな状態の時にわざわざ裁判をするのか、というと別居や離婚しないと困る状態にあるからです。
DV等の暴力であれば身の危険があります。
このまま一緒に暮らしていたら、自分の頭がオカシクなってしまう、ということもあります。
当然ですが、フラフラの精神状態になったのは一緒に暮らしているからです。
だから逃げる、別れる必要があるのです。
また、世帯が一緒であれば、公的補助を受ける事ができない問題があります。
子供がいれば、別居して逃げても住民登録できないため学校への通学に問題が起きます。
DV防止法を使って別れるにしても、同居していると使えません、別居して避難してからになります。
世帯分離しておいて、引っ越して、住民票非開示という手もありますが、段取りに手間取ります。
さらに言えば、このような方法を取るにしても、いろいろな書類を書いて提出して面接して、こっちで説明、あっちで説明となります。
頭がスッキリ、心身共に健康な状態でないと、何もできない活動できないことになります。
急いで逃げなければいけない、別れなければいけない、という状況なのに心の問題で急ぐことができず、この状態に焦ってさらに自分を追い込んでしまうケースがあります。
こうなると、弁護士への説明は落ち着いてできる訳ないし、書類もちゃんとかける訳ありません。
書類集めもできないので、弁護士に必要なものを渡すことができず、どんどん遅れていきます。
さて、こうなると依頼を受けた弁護士も困ってしまいます。
調停や裁判となると、期日が裁判所から決められているし、書類提出期日も決められています。
しかし、そこは逃げ道もあるからなんとかなりますが、毎回のようにこうなっては弁護士も困ってしまいます。
また、戦いの最前線に出る弁護士にとっては、依頼人の答弁書や証拠書類を使って戦うのですが、これが手元に届かないとなると、素手で戦うようなことにもなりかねません。
次回の期日までにこれこれを出してください、と言ってきますが依頼人はヘロヘロで動けないとなると、頭が痛いモノでしょう。
書類は集まらない、話を聞いてもよく分からない、これではイライラしてキレる弁護士がいても不思議ではありません。
中には、うつ症状とはどんなものか、どうなるのかを知らない弁護士もいたりします。
これが合わさると、裁判の期日というスケジュールを死守したい弁護士と、それができない依頼人という中でお互いがイライラし通しという、悲惨な関係ができてしまいます。
裁判所は待ってくれないし、弁護士も待ってくれない、そんな中で焦り通しの依頼人です。
こんな状況が続いて、ブチキレた弁護士も何人かいました。
キレないまでも、嫌みを言ってきたり、事務的な口調になったり、ぞんざいな扱いをしてきたり、といろいろいます。
まぁ、弁護士も人間なので仕方ないかもしれませんね。
そうであるなら、もっと早く人間的な会話、共感性がある会話をして、相手を理解する努力の必要があったと私は思います。
これはさっきも話したように、私の一方的な見方ですが、弁護士は依頼する人というのは、精神的に安定している、という前提があるように感じます。
だから、鬱状態の人が依頼してきても、普通の人にするのと同じ対応しかしてくれないのではないでしょうか。
また、依頼する側も、弁護士がどこまでやってくれるのか、事務的な資料作成はどこまでこちらがしなければならないか、確認しておく必要もあるでしょう。
丸投げすればしてくれるのか、というとそうでもありません。
ホントに弁護士選びは大変なんですよ。
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