離婚や別居した人、交際相手・不倫相手と別れた人、人と会う機会が減ってしまった人は、相談でその孤独感を訴えて来る。
嫌な夫と別々になっても孤独は感じるし、仲の良かった相手と別れても孤独感は襲って来る。
今まであったもの、持っていたものを失う。
今まで普通にあったものが無くなってしまう。
こんなことから孤独感は起きるが、大本を考えたらこれは「喪失感」から生まれるものだ。
激しいDVの中で「早く別れたい」と思って、それが実現してやっと一人になれた人でも、暫くすると猛烈な孤独感に襲われる。
そうして、今までいた「最低の環境」に思えた家に戻りたい、と思ってしまう。
酷い事しかなかった家なのに、本の僅かにあった「楽しい事」が浮かび上がって来て、嫌なことすべて隠してしまい、楽しかったことだけにスポットライトが当てられる。
DVで別居した人、離婚した人でさえこんな気持ちになってしまう。
となると、そこまで酷くなかった人にとっては、恐ろしい程の孤独感が襲って来るのだろう。
交際相手と同棲していて、DVでそこから飛び出した人も、暫くすると「戻りたい」という気持ちが強くなって戻ってしまう。
そしてまたDVが繰り返されて逃げ出す、それを繰り返す。
DV被害で警察に何度も相談した人、説得されて逃げ出した人にもこんなことがある。
何度も出たり戻ったりすると、警察も呆れてしまうのだが、これは人間の本性、「孤独に耐えられない」というものだから仕方ない。
紀元前の哲学者たちも「人はヒマになるとロクな事を考えない」と言っていたが、楽しかった生活、散々な生活でも「ヒマつぶし」になっていて、ロクでもない事を考えずに済んでいたのである。
寂しい、孤独だ、苦しい、戻りたい、と今思っているなら、それは「考える時間がたくさんある」「ヒマ過ぎてロクな事を考えていない」証拠だ。
心理カウンセラー等に相談すると、「何かに打ち込む、趣味に没頭する」といった事を勧められるが、当人はそれで忘れたいのではなく、「人肌恋しい、優しくされたい、話しをしたい」といったものが欲しいのだと思うので、余り良いアドバイスとは思えない。
結局のところ、喪失感、孤独感は人の心を打ち壊してしまうので、早くその隙間を埋めるしかないのだと思う。
もちろん、すべての人がこうだとは言わないが、そういう気持ちで苦しんでいる人に「何かに没頭して忘れろ」というのは、うつ病の人にガンバレと言うのに等しいくらいキツイ言い方だと思う。
冬は特にそんな気持ちになり易いが、それは夏でも春でも同じ。
孤独感はいつでもやってきて苦しめる。
不肖の探偵は会員たちに「早くいい男見つけろよ」などと軽口を叩いているが、一緒に過ごせて自分を分かってくれる人が現れると一気に春になって、身も心も安定して、綺麗になっていくのである。
喪失感、孤独感を克服できるのはこういった恋愛しかないのかもしれない、と常々思っているのである。
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