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嫌いなあの人は、もう一人のあなた

嫌いといっても、暴れる壊す危害を加えるといたキチガイは論外で、何となくムシが好かない、どうも苦手だという人のことである。


なぜ嫌いなのかというと、それはあなた自身がその傾向を持っているから。

持っていると言っても「明らかに分かっている」のではなく、そういった気持ちを押し殺している、心の奥底に封印しているのである。

この封印したものが「理性で抑圧された自我」であって、思い浮かべたり言葉にするだけで自分が混乱して崩壊してしまうモノと言われる。

この抑圧したものがコンプレックスである。


「嫌いなあの人」がどうしてもう一人の自分なのかというと、自分が抑え込んでいる事を「あの人」は自由にしている、ということでイラつき、怒りが湧き、毛嫌いするようになる。

自分自身を見ているようだから、とも考えられるが無意識に押し隠しているから分かっていないかもしれない。


不倫している人を叩く人は、「自分もしたいのにできないから」「自分も自由にしたいのにやってはいけない事と言われ続けたから」といった理由があったりする。


つんけんした人が嫌いなのは、「自分にもそういう面があって、そんな自分が嫌いなので押し隠しているから」。


男にベッタリすり寄る同性の友達を嫌うのは、「自分もそういたいのにできないから」だったりもする。


結局は、自分ができないこと、してはいけないと思ってきた事をしているから嫌いになるのである。

もちろんすべての事象がこれとは言い切れないが、人間の心理にはこういった部分がある。


この「してはいけない事」をする影のような存在を心理学では「シャドウ」という。

そしてシャドウがする事は、自分が理性で抑え込んでいるコンプレックスであって、それをシャドウに「投影」しているという。




多くの人は自分の思いや欲求を理性で抑えて生きているが、その状態が長く続いたり自分の職業が「清廉」なものであるとギャップが大きくなって抑えの限界点に達する。

限界に達する前にはチョボチョボと倫理に反するような行動や犯罪を犯すのだが、限界にくると二つの顔を持つようになる。

この状態が「二重人格」である、つまり統合失調症になってしまうわけだ。



子供の頃から親に「これをしてはいけない」「あれをしてはいけない」と言われ続けたり、大人になってから「こんなことをしてはいけない」「これをするのはクズだ」と言われたり、自分の周りにいる人たちがそういう事を言っているのを聞いて育った時に起きる。

やってはいけないこと、は大抵の人が「やってみたい」という欲求が湧いてくるのだが、それを理性で抑えていたりする。

また、それをすると犯罪だったり、人間としてサイテーと言われるようなものだったりする。

自分自身で「そんなのは良くない」「大人として・・・」「みっともない」と思っている事でも自我は求めていたりもする。



法律を守らなければならない、という教えを皆が守っているが中には「それに反してみたい」と思う気持ちを持つ人もいる。

人を騙すのはいけないことだ、と言わてれも「騙したい」という欲求があったりもする。

教員や大学教授、警官や医師・弁護士などが性犯罪を犯す時、そこには「してはいけない」という倫理を理性で抑え過ぎた結果、理性とは正反対の作用が起きて行動を起こす。

職業倫理が高い人が犯罪を犯す時にはこういった原因や理由もあったりする。


犯罪は悪いのだが、それを時々して捕まるのであれば「そろそろ限界点」という合図でもある。

ここを取り逃がすと精神が崩壊するのである。

倫理は重要なのだが、それをコントロールしすぎると崩壊が待っている。


昨日だかのブログでも書いたが、夫の浮気調査を依頼してきた奥さん、夫の勝手な行動に振り回される奥さん、セックスレスが続いている奥さんは

「私だって浮気したいんだよ」

「私だってしたいんだよ」

と言い出す事がよくあるが、これも誰かに言えば「サイテーなヤツ」を思われて自我が崩壊してしまうであろうことだから言えず仕舞いだったりする。

スキンシップが無くなって20年以上の依頼人は

「電車で前に立っている男性に抱き着きそうになった、そういう衝動が出た」とも言っていた。

これも理性が自我を抑え込み過ぎて、その反動が出る間際だったともいえる。


シャドウの多くは「反倫理的」「反道徳的」なものである。

不倫するもそうだし、ぶん殴ってやりたいもそうだし、ひき殺したいもそうだ。

車を運転している時、赤信号で止まり前を歩く人達を見て「今発進したらひき殺すだろうな」という思いを持つことはないだろうか?

これは「侵入思考」といって反倫理的思考の代表的なものである。

しかし、行動に移さないのは理性が抑え込んでいるからである。





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