古い町、地方の町や村を歩くと所々に「庚申塚や庚申塔」が建てられている。
お地蔵さんと同じか?と思う人も多いだろうが、それとは違う。
庚申塚(こうしんづか)とは道教の庚申信仰をベースに作られたものだ。
庚申とは十干十二支、干支(えと)で構成されたカレンダーの中の日。
その中の「庚申の日」が関連してくる。
干支が60年で一周するようにカレンダーの干支も「60日」で一周する。
だから「庚申の日」も60日毎にやてくる。
道教ではこの庚申の日に、身体の中に住んでいる「三尸虫(さんしのむし)」というのが、本人が寝ている間に天に昇って、天帝(神様)にその人間が60日間にしてきた悪行を報告することになっている。
生きている間、ずっとこのレポートが出され、なんと”その都度”寿命が削られて行くのである。
まるで「獅子身中の虫」である。
しかも「悪行」だけを報告され、勝手に寿命を削られるのはトンデモナイ。
昔の人もそう思ったのは当然である。
そして彼等は素晴らしいアイデアを思い付いた。
「庚申の日に、天に行かせなければいい」
「寝ている間に身体から抜け出して天にいくのだから、寝なければいい」
ということで60日毎の「庚申の日」には近所の人たちが集まって、寝ずに夜を過ごすようになった。
しかし「何もしないで起きているのはバカらしいし辛い」
ということで、酒盛りをするようになった。
夜通し起きてワイワイガヤガヤしていたようだ。
当然、そんなアホばかりではなかろうから、ちゃんと講和会をしていた連中も多かろう。
とはいっても、やはり徹夜して報告に行かせないのだから「良いのか悪いのか」分からない。
そしてこれを3年間続けたところで「達成おめどう」ということで「庚申塚」を建てたのだという。
信心深いのかアホなのかワカラン。
それにしても笑えるのは、「定期的に天に報告されるなら、行かせなければいい」という発想である。
それにしてもよく続くものである。
3年で達成おめでとう、ではあるがそれは通過点であって、その後も徹夜をしてまたまた3年後に塚を建てるのだ。
「三尸虫(さんしのむし)」とはいっても天帝の使いであろう。
それが真面目に報告するのを夜通し起きて邪魔するというのは、単純明快かんたんな解決法である。
神を信じているのか?と思ってしまうが、信じているから報告を邪魔するのであろう。
報告を邪魔をされた「三尸虫」も困った事であろう。
もしかしたら「報告・連絡・相談」の「報・連・相(ホウ・レン・ソウ)」を怠った事で罰を受けたか、クビなったかもしれない。
「庚申塚・庚申塔」を見ると当時の人達が、「邪魔してやったゼェ~」とか「これで安心だぁ~」等とガッツポーズで快哉を叫んでいる姿が、なんとなく見えてしまうのである。
だから「バカの見本」のような塚であったりもする。
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