軍事で重要なのは戦闘している前線ではあるが、その前線、最前線に武器弾薬、兵員、食料、医薬品、燃料など諸々の物資を送り込む後方支援(ロジスティック)が機能しなければ前線は任務を全うできない。
運び込むという事は、使ったモノを持って帰る事も任務になる。
ゴミ、破損品、使えなくなったモノ、ケガをした兵員、休養が必要な人員、というのがだいたいそれに当たる。
古来、日本では「行き当たりばったり」の先方、特に根性論が根強く「寝ずに頑張る」とか「根性で頑張る」という考えがあって、今でもその考えが浸透している。
軍事では、人員配置は前線1~2割で後方支援が8割前後と言われている。
ベトナム戦争でアメリカ軍は前線で戦う兵士10万人くらいで、後方支援が90万人という「1:10」の割合だったようだ。
それくらい後方支援が重視されている。
湾岸戦争でも似たような割合である。
「必要な時に必要な物資が必要なだけある」というのが大前提ですべての計画が練られている。
だから当然、前線で戦う兵士も同様で「パフォーマンスが高い状態」を維持するために、現地では様々なリフレッシュ策がある。
リラクゼーション施設は当然、休暇もちゃんと取る、そして「食事」は本土にいる時と同様かそれ以上を前提にしている。
「有事だから休みなし」は通用しないのである。
これは「根性」が足りないのではなく、最高のパフォーマンスを得るために与えるもので、だから「recreation(再生)」と言われる。
この考えは古くからあり「R.R(レスト&リラクゼーション)」と言われていた。
今では「M.W.R(モラール士気・ウェルネス健康・リクリエーション休養)」となっている。
これらが有効に機能するためには施設が必要だが、それができない場合は部隊をローテーションさせることになる。
一定期間で第一陣から第二陣へ、そして第三陣といった具合である。
交代することで疲れた部隊を駐屯地へ戻し、新しい部隊が入る訳である。
ところがである、日本はこれが恐ろしくヘタというかできていない。
自衛隊や警察、消防といった組織はそれがわかっているが、民間組織はその考えが余り無い。
医療部隊もそれに近いようで、統率する組織があるのかないのか、そしてその指令で統率されているのかかどうか傍目には分からない。
能登地震も発災から10日以上である。
医療部隊などの第二陣はどうなっているのか、元からいた医療関係者も交代しないとダウンするであろう。
玉砕戦法ようなもので、交代しなければ共倒れしてしまう。
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