暗示にかかりやすいが、日本人の場合は「ネガティブ」な暗示に掛かりやすい。
どんなに良い事を言っても「そんな事は無い」「冗談でしょ」と言って否定し続ける人が多いのも事実である。
これは現在、うちの会員やセッションを受けている人も同じで、岩盤のような堅い信念を持って「自分は最低だ」と思い込んでいる人もいる。
どうしてそうなっているのかと言えば、「そういう環境」に居続けたからである。
生活でも教育でも、何でもかんでも「否定」から入る中で生きて来たからだと思う。
同じ事を何度も言われ続けて、その環境に居続けると、それが当然であり常識だと思ってしまうのが人間である。
「車は左で人は右」という交通規則も外国に行ったらその逆、となって戸惑う人もいる。
そりゃ当然で、その環境で生きて来たからそうなってしまう。
「●●と言ったら●●」という流れが頭の中でできてしまうからそうなる。
「バカだ、クズだ」と言われ続けてきたら、どんなに抵抗していてもそのうち「そう思う」ように変化してくる。
これが「暗示」というものであって、使い方によっては「マインドコントロール」という事になる。
「洗脳」とは違うのか、と思う人もいるだろうが洗脳は「身体的苦痛」を与えて脳に浸透させるものとされている。
「断眠、空腹、罵声や体罰」といった事を、数日間から長期に渡ってすることで浸透していく。
だから、暴力を伴ったDVはこれに該当するといえる。
暴力がないモラハラの場合は、マインドコントロールといってもいいだろう。
ネガティブな暗示にかかりやすい人は、こういったマインドコントロールにはうってつけで簡単に掛かってしまう。
テレビや雑誌の記事でも、ネガティブなモノが多いのは「受け入れやすい」「それに喜ぶ」からだろう。
反対にポジティブなものだと、「嫉妬」や「反発」が出てきやすい。
対人関係でも何か問題が起きた時に「自分が悪いからだ」と思うのは、そういうネガティブ思考が得意だからだ。
本当に自分が悪い事は、たぶんそれほど無いだろう。
どれも「お互い様」なのだから、すべての責任を自分が負う必要もない。
「お前も悪いだろ」とわざわざ言う必要もないが、腹の中ではそう思っていれば何かあっても苦にはならないのではなかろうか。
うちに相談する人の多くは「自分が悪い」というように考える回路が出来上がっていて、それが原因で鬱に落ち込んでいる事が多い。
夫婦だろうが恋人だろうが不倫だろうが、みんなその考えが根底にあって自分を責めてしまい落ち込んでいく。
そこから救い出すにはどうするか、といえば新たに暗示に掛けるのである。
昔、ある団体に加わってマインドコントロールされた人を救い出すグループと知り合ったことがある。
そこで使われていたのが「再・マインドコントロール」であった。
もう30年以上前の事だが、この方法は今も大して変わっていない、というより同じである。
洗脳は難しいが、こっちはそれほどの期間はいらない。
とはいっても加わっていた年数によっては1~2年は必要だ。
DVモラハラ等でマインドコントロールされた人もそんなに掛かるのか、と思ってしまうがこんなには掛からない。
せいぜい数ヵ月もあれば「呪縛」が解けてくる。
ただし、「その場所」を見る事でトラウマが蘇ることがある。
「その音」を聞いてトラウマが蘇る事もある。
DVを受けていた人の中には、「ガラスや瀬戸物」が割れる音に反応して動きが止まる人もいる。
オッサンがよくやる「大きなくしゃみ」を聞いてビビる人もいる。
だから救出には環境を変える必要もあるのだが、できなくてもなんとかなる。
それは、どれだけたくさんの暗示を掛けるか、どれだけたくさんの時間を掛けるかで決まって来る。
そうして本人の考えが変わることで、歯車が動き始めて良い方向へどんどん進んでいくのである。
落ちてしまった人を救い上げて元の人生に戻すのが「心のリハビリ」であるが、実際は「サルベージ」作業、沈没船の引き上げ作業のようなものである。
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