精神疾患だろうな、というような人を追い掛けて来て時々思っていたのが、人はどうして「そんな行動をするのだろうか?」という疑問である。
突然怒り出して、キレて暴れて騒ぐのもいれば、相手を貶めるような事をしたり、叩き続けたり、否定し続けたりするのはいったい何が原因だろうか?
精神疾患といえばそれで終わりになってしまうが、どうしてそうなるのか不思議である。
多くは認知の歪みといわれるが、そうして歪むのかが不思議である。
脳の構造、神経の伝達という面からみるとなんとなくその理由が分かって来る。
最近よくいわれる脳科学になるが、結局のところ神経の伝達方法や伝える際の回路の異常のようなものになる。
こういった本を読んでいて面白かったのが、「人はなぜ不安になるのか」というもの。
科学的に考えると、脳内物質のセロトニンを運ぶ媒体、セロトニントランスポーターが少ない事に理由があるらしい。
セロトニンは所謂、「幸せホルモン」等と呼ばれている物だ。
これが少ないと不安になり不安感に押しつぶされたりする。
怒りや焦りなどマイナス感情を抑制して精神を安定化されるのに重要なのがこのセロトニンである。
不足するとストレスが増加して暴力的になるとも言われている。
セロトニントランスポーターは一旦放出されたセロトニンを回収して再度放出する役割あるのだという。
世界的に見ると日本人はこのトランスポーターが少ないようで、日本人全体の7~8割が世界平均より随分とすくないのだという。
モヤモヤした不安とか、将来に対しての不安、人間関係での不安といったものが強く出るのは日本人にとても多く、悲観的になりやすいのは当然かもしれない。
それじゃ~このセロトニントランスポーターを増やして、どうやって不安を改善するかといったら簡単なのは「形から入る」ことなのだそうだ。
自信のある態度、自分自身の肯定、こんなことから変わるのである。
強いポーズ、意識だけでだんだんと変わる、というのが研究の結果判明したことなのだそうだ。
ただし、こういった考えや思い込みによって頭の中の回路が完成するまでには「3週間」ほどかかるようで、その間毎日思い続ける事が肝心なのだ。
まぁ1か月間続ければ、自信のある態度が完成され、それと同時に不安が解消されていくらしい、これも研究結果からの話しである。
会員との話しで不肖の探偵は毎回のようにいろいろな事を「褒めて」いるが、これも毎回聞いているとなんとなくそう思ってきて、そのうちそうだと思い込むようになる。
褒める、という事はかなりのパワーがあって、それで変わっていくのである。
これは昔サラリーマンだった頃に、上司の上司から教わった心理テクニックの一つなのだが、過去に経験済みだし実証済みなので理解できる。
「おだてたら調子に乗るだろ」等と思われるが、それでいいのである。
調子に乗ってきたら方向性を与えてあげれば「もっと良い方向」へ勝手に進んでくれる。
不肖は、そんじょそこらの男よりも「褒め上手」だと自負しているが、これも勝手な思い込みなのかもしれない。
そもそも中年以降、人は褒められる事、褒められる機会がどんどん減ってしまい、中にはまったくその経験が無い、という人も出てくる。
そんな中で褒めると、最初はバカにして聞いているが、毎日言われ続けるとだんだんと本気にしてくる。
ある種のマインドコントロールである。
さっきの上司の上司からのトレーニングだが、これは1時間くらい外に連れ出され、喫茶店やファストフート店などに行って、「今から10分やるから、この店のいいところを10個挙げろ」というものであった。
これを1か月の間に何度も繰り返されると、最初は苦労していても段々と見つける事が簡単にできるように変わる。
そして1か月が経った頃になると恐ろしいことに、「ダメな点を挙げる」のに非常に苦労して、ほぼできなくなってしまう。
頭の回路が完成してしまうのである。
そしてこれを職場で使うと、褒められた人も段々と変化して活気に満ちてきて自信を持つように変わるのだ。
褒めるだけ、褒め続けるだけ、いろいろ発見して褒めるだけで人は変わるのである。
だから不安を持ち続けている人も、自分を変えたいと思っている人も、強い自分を想像したり外見だけでも自信を持ったフリをして思い込んでみることだ。
それか、不肖の探偵に褒め続けられてみるのもいいだろう。
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