自己愛が強い人には、完璧とか高い能力があるように見せかける人が多いのは良く知られています。
自分の能力は他の人より優れていて、自分が間違えなどする訳が無い、といった言い方をすることもあります。
しかしやがてその完璧な人間の仮面も剥がれ始めます。
行動・言動・他人への接し方を見ていけば、カンペキどころから最低の人、マウントを取って喜んでいる人、という姿が見えてきます。
皆は、マウント取ってる、ウソ言ってる、騙してる、といった言い方をしますが、十分モラハラに該当するものだってずいぶんあります。
しかしこれは、自己愛者が誰かを攻撃する時に使う手口です。
彼等は、まず外見で初対面の人に「できるヤツ」といった印象を与えます。
服装や持ち物、笑顔やクールな表情、均整のとれた整った体形、といったもので人の目を欺こうとします。
第一印象で人を騙せることをよく知っています。
そして話す言葉や内容で、頭がよさそう、能力が高そうといったイメージを植え付ける努力もします。
話してみると、物事を断定的に言うことが多く、その大部分は自分の考えの押し付けだったりもします。
反論を許さない、反論すればさらに自分の考えを押し付けて来ることもします。
みんなが知ってる、みんなが言ってる、といった言葉も良く使います。
話している事を聞いていて、「なんかオカシクないか」とか「しかし、あっち側ではこう言っている」といった意見を出すと、頭が悪い奴だ、情弱だ、世界を見ていない、といった罵詈雑言が返ってくると、それ以上話す気も無くなってしまいますが、彼等にとっては反論できなくした、ということでさらに調子に乗ってきます。
さらには自分の正当性、周囲から認められている事の証明のためにウソ、真実が少し混じったウソ話し、拡大解釈、大袈裟な表現をどんどん繰り出してきます。
話しの論点をずらして話しをまったく違う方向へ誘導することもよくあります。
討論して勝敗を決めるディベートだと、論点すり替えが多いと減点となりますが、これは首尾一貫した話しができていない、説得力のある話しができていない、ということでまったく評価されない手法です。
こういった言葉を繰り出してくるのは、友達、交際相手、夫婦・特に夫、職場の同僚や上司といった人、誰でも使いますが、その中でも自己愛が異常に強い人が良く使います。
こういった攻撃は兄弟間でも起きていますが、その場合は姉妹、女性同士という立場でのやりとりが多いように思えます。
ウソ、騙し、勘違いさせるといった攻撃で相手を間違った方向へ誘導することも多く、いわゆるガスライティングという方法であなたのイメージダウンを狙うこともあります。
さて、夫婦間、夫が奥さんを攻撃、誘導する時を例にして話していきましょう。
奥さんが夫の浮気を問い詰めていくと
「そういうオマエだって浮気してるだろ」
という言葉を返してくる夫がいますが、これがまさに論点ずらしです。
「オマエだって論法」と呼ばれていますが、偽善の抗弁などとも言われます。
夫の浮気を問い詰めていたら「オマエだってしてるだろ」と言われると、「そんな訳ないでしょ」と反論しますが、これは相手の思う壺。
こうやって話しを脱線させることで、自分の非を指摘されている状況から逆転して相手を追い込むのです。
そんな時は、
「その手には乗らないよ」、「話しの論点をずらすのは止めろ」、「今はそのことを言っているのではない」と本来の話しに戻すことです。
それでも相手がずらそうとするのであれば、相手は完全に逃げの状態に入っている事の証明です。
論点ずらしは、自分の理屈が負けそうになっている時に使います。
だから、これを始めたら負けそうだという事が分かって、自己防衛に入っている状態です。
ディベートやマトモな相手ならこれで完全論破となりますが、自己愛が強かったり、境界性の傾向があったりすると終了とはなりません。
少し脱線しますが彼等の得意なひっかけ問答もあります。
「最近浮気してるの」と聞かれて「してる訳ないだろ」と答えたら、今はしてないけど、昔はしていた、と話しを作ります。
たまにこういった投げ掛けを大勢の人がいる時にすることがありますから気を付けましょう。
他には、
「最近、奥さん殴った?」に対して「する訳ないだろ」となれば、昔は殴ってたとなりますね。
「最近は大人しく運転してるの」に対して「いつも安全運転だよ」であれば以前の運転は荒くて危なかったことになります。
マウントを取るような連中はこういった言葉、質問を投げて相手を貶める、罠に嵌めてトンデモナイ人に仕立て上げるのが得意です。
こういったひっかけ問答が得意な連中を奥さんが問い詰めると多くの場合、次のよう答えが出ます。
浮気なんかゼッタイにしていない。
俺が浮気する訳がない。
1000%浮気はしていない。
浮気するヒマも金もない。
そんな女はマッタク知らない。
と返してきます。
そんな答えにも奥さんが怯まず問い詰めると今度は、
オレが浮気していると100%言えるのか。
オマエは見たのか、だったら一緒にいた相手は誰だか言ってみろ。
いつ浮気した何月何日だ、時間は、場所は、証拠を出せ。
そこまでオレを信用できないのか、だったら離婚するぞ。
オマエはそうやってオレを心理操作しようとしてるな、DVだぞ。
さらに追い込んでいくと、認知の歪みから来る極端な誇張が出てきます。
普通なら認知の歪みは「自分自身」に対して出て来るものですが、彼等自己愛者の場合は、他人に対して、自分を責めて来る人に対して歪んだ思考パターンが出てきます。
例えば、
1.オマエも浮気してるだろ、オレは知ってるぞ
2.オマエがしていることを誰も知らないとでも思っているのか。
3.オマエの浮気はうちの親も知ってるぞ。
と言ってくる人もいます。
ここだけでも、結論の飛躍、行き過ぎた一般化、心のフィルター、レッテル貼り、感情の理由付け、といった要素が入っています。
そして証拠がどんどん出てきて、逃げ道が完全に塞がれて、いわゆる「詰んだ状態」になった時、
謝ってくることもありますが、その時はたいてい
もうゼッタイに浮気しません
浮気は止めます
あの女とは完全に別れます
完全に手を切ります
100%オシマイにします
と言い出して、泣いて謝るといった行動をすることもあります。
バレた相手とは止めるでしょうが、浮気自体を止めることはほとんどありません。
また論破合戦でよくあるような形、
オマエと話しても意味がない、離婚だ、オレは出て行く、もう話しなんかしない、といった形で話し合いを強制終了させることもあります。
浮気夫を例にしましたが、職場や何かのグループであっても同じような反撃パターンが出ます。
論点ずらしで言えば、
「オマエがそんなこと言える身分か」
「オマエだって以前、同じことしただろう」
「若いクセに偉そうなこと言うな」
「オマエの意見なんか、みんな聞くわけないだろ」
「オマエの答えが100%正しいのか」
「社内の人がみんなそう言っているのか」
というものもあるでしょう。
そして、
「オレのどこに文句があるんだ」
「そんなことをいつ言った、何月何日だ」
となり、
「そんなことをオレがするはずがない」
「オレが間違えるはずがない」
となります。
認知の歪み症状が出て来ると、
「お前らグルになってオレをワナに嵌めようとしてるな」
「オマエらが企んでいることは判ってるぞ」
「お前らよりオレの方が味方が多いんだぞ」
といったことを言い出します。
彼等は、みんなが言ってる、みんながそう思ってる、みんなが同じ意見だ、と言ったように、みんな、と言う言葉をよく使います。
あたかも大多数の人が自分と同じ意見、考えであるかのように使いますが、
みんなって誰だ?言ってみろ。と返してみるとたいてい答えられないか、自分のグループの人間、それも一部の人だったりして、非常に狭い範囲での、みんなだったりします。
完璧主義をイメージにしていると、些細なことで足をすくわれて、イメージが崩れてしまったり、
何かの時に仮面が剥がれます。
それがバレた時、自分の居場所を失うこともあります。
浮気が奥さんにバレて泣いて謝るくらいなら、外部に漏れることも少ないでしょうが、会社やグループの中でそういったことが起こると、もうそこにはいられなくなってしまいます。
これが兄弟姉妹間での攻撃、誘導となると、もっと具体的な名前を出して攻撃します。
「親戚みんながオマエを能無しだと言ってる」
「●●おじさん、●●おばさんがそう言ってた」
「ジーさん、バーさんが、お前はロクデナシだと言ってる」
「私は親からこう褒められたけど、あんたはそうやって褒められたことはない」
「中学や高校の頃、私の方がこれだけ大事にされていた、いいだろう」
といった感じの言葉を常に投げつけてきて、自尊心を破壊し、自己肯定感を目一杯下げてきます。
さらに、攻撃して存在を否定する、そしてあなたが自分の存在を否定するように仕向けてきます。
自己愛が余りにも強い人、ボーダー気質の傾向がある人は、言葉を巧に使って逆にあなたを追い込みます。
巧み、というより言葉遊びが得意なのかもしれません。
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